こんにちは。
群馬県高崎市の熱帯魚の水槽レンタル・メンテナンスサービス専門店「美ら海」です。
本日は「ハタタテハゼの魅力と飼育のポイント」について解説いたします。
目次
ハタタテハゼ(学名:Nemateleotris magnifica)は、インド太平洋のサンゴ礁域に広く分布するハゼの仲間で、海水アクアリウムの中でも特に人気の高い小型魚のひとつです。体長は成魚で6〜7cmほどと小柄ながらも、その鮮やかな体色と長く伸びた背ビレが非常に美しく、水槽内でもひときわ目を引く存在です。
体の前半は白〜乳白色、後半にかけて鮮やかなオレンジ〜赤へとグラデーションがかかっており、まるで体を炎が包んでいるような印象を与えます。また、背びれが糸状に長く伸びており、その姿が旗を立てたように見えることから、「ハタタテ(旗立て)」という名がついています。
ハタタテハゼは自然界では水深10〜30mほどのサンゴ礁や砂礫域に生息しており、岩の隙間や穴の近くを縄張りとして生活しています。外敵に備えてすぐに隠れられるような位置を選んでおり、水中をふわりとホバリングするように泳ぐ姿が特徴的です。
性格は非常に温和で、他の魚を攻撃したり威嚇したりすることはまずありません。反面、臆病でストレスにも敏感なため、導入時には特に注意が必要です。
ハタタテハゼは体が小さく、単独またはペア飼育が中心となるため、60cm以下の小型水槽でも十分に飼育可能です。30cmキューブ水槽などでも対応できますが、混泳を考えるなら45〜60cm程度のスペースがあると安心です。
遊泳範囲は中層から下層で、あまり広範囲を泳ぎ回るタイプではありませんが、隠れ場所となるライブロックの隙間やトンネル状のレイアウトを用意すると、落ち着いて行動できるようになります。
ハタタテハゼは丈夫な部類に入りますが、繊細な面もあるため、水質の急変には注意が必要です。ろ過能力の高いフィルターや、安定した比重・水温管理が重要になります。
水質の目安としては以下が推奨されます。
水温:24〜27℃
比重:1.023〜1.025
pH:8.1〜8.4
硝酸塩:10ppm以下を目安に
水質が安定していれば長期飼育も可能で、5年以上生きる個体も珍しくありません。なお、飛び出し事故が非常に多いため、水槽にはフタを必ず設置するようにしましょう。
ハタタテハゼは食欲が旺盛で、導入直後から人工飼料にもよく反応します。粒状やフレーク状のマリンフードを1日2回程度、食べきれる量ずつ与えると良いでしょう。
また、時々冷凍ブラインシュリンプやコペポーダなどを与えると、栄養バランスの補完にもなり、発色や健康維持にも効果的です。
餌を与える際には、周囲の魚に圧倒されないように配慮することも大切です。ハタタテハゼは競争に弱いため、他魚との混泳時は餌が十分に行き渡っているかをしっかり観察しましょう。
ハタタテハゼは非常に穏やかな性格をしており、他種との混泳にも向いています。ただし、気の強い魚や活発すぎる魚と一緒にすると、ストレスを感じて物陰から出てこなくなることがあります。
混泳に適した相手としては、クマノミ、ハゼ類、カクレテンジクダイ、小型のスズメダイなどが挙げられます。逆にベラ類や大型ヤッコなどとは相性が良くないため、避けた方が無難です。
また、複数匹を一緒に飼育する場合は、同じハゼ属の魚同士では争うことがあるため、同種を複数入れる場合はペアでの飼育にとどめるか、広めの水槽で隠れ場所を複数用意しましょう。
ハタタテハゼは、初めての海水魚飼育にも向いている魚種として知られています。その理由は、小型水槽でも飼育できること、人工餌によく慣れること、病気にも比較的強いことなどが挙げられます。
一方で、最も注意が必要なのが“飛び出し事故”です。驚いたときや水槽内のトラブル時に突然ジャンプしてしまい、水槽外に出てしまうケースが非常に多く報告されています。フタの隙間を完全にふさぐ、点検口は常時閉めておくなど、万全の飛び出し対策が必要です。
また、見た目の美しさに反して、ストレスに非常に敏感な一面もあります。水合わせは慎重に行い、導入直後は照明を落として落ち着けるよう配慮しましょう。
ハタタテハゼは、美しい外見、穏やかな性格、そして飼育のしやすさを兼ね備えた、小型海水魚の代表的存在です。初めての海水魚飼育でも安心して迎えられる種類であり、レイアウトの工夫次第でその魅力をさらに引き出すことができます。
ただし、飛び出しや混泳時のストレスには十分注意が必要です。落ち着ける環境を整え、日々の観察と小さな変化への気づきを大切にすれば、ハタタテハゼは長く美しく、水槽の中で静かな存在感を放ち続けてくれることでしょう。